COVID-19は人類にかく語る〜愛・信・恕
第3報:なぜCOVID-19はこれほど恐れられているか?
〜過度に恐れる必要はないが、決して敵を甘くみてはいけない!〜
今、新型コロナウイルスの嵐が世界に吹き荒れています。
世界は、グローバル化から、一国主義へ、
協調から孤立へ、
信頼から疑心暗鬼へ
この流れは、COVID-19が流行する前から世界を侵食しつつありました。
そしてこの流れは加速し、社会には閉塞感が漂っています。
新型コロナウイルスは今、私たち人類に語りかけています。
いや、警告を発しています。
世界は1つです。国境はありません。
対立から協調へ、疑心暗鬼から信頼へ、
多様性の壁を乗り越えて世界に調和をもたらさなければなりません。
それができなければ滅亡への道が待ち構えています。
人類の歴史は多様性ゆえの発展と対立の歴史であったと思います。多様性ゆえに心豊かな生活を送ることができます。また、多様性はイノベーションの源泉でもあります。一方、多様性ゆえに対立や紛争、そして幾多の戦争を経験してきました。一方、学問、科学技術、芸術やスポーツは人類共通言語であり、多様性の壁を乗り越える大きな力を有しています。私たちは、宗教や言語が異なっていても、これらの人類共通言語を介して心を通じ合うことができます。人類共通言語により、私たちは多様性の壁を乗り越えて、世界中の多様な人々と交流し、異文化理解や異文化尊重を育むことができます。その先に、平和で心豊かな人類社会の発展があります。
インフルエンザやコロナウイルスなどの感染症も、また多様性の壁を楽々と乗り越えていきます。感染症はある意味で人類共通言語であるとも言えます。
このような時だからこそ、「調和ある多様性の創造」(注釈)は、かってないほど重要になっています。人類の命運がかかっていると思います。
2020年は人類の歴史20万年において、数百年から数千年に一度の大変革点になると考えられます。
http://toshio-hirano.sakura.ne.jp/Hirano/gurobaru_hua_dibo.html
人類は1万2千年前に農耕時代に入り、人類社会に大変革がもたらされました。その1つに感染症があります。現在の多くの感染症は農耕時代に牛や馬などの野生動物が家畜化されたことにより人類社会にもたらされました。そして、感染症は人類の歴史をも塗り替えてきました。中世ヨーロッパではペストの大流行により人口の50%の人が亡くなり、中世封建体制は崩壊しました。またインカ帝国やアステカ文明はスペイン人がもたらした天然痘によりわずか一年で崩壊しました。人類の歴史は感染症との戦いの歴史であると言っても過言ではありません。そしてその戦いは今でも続いています。重要な点は、人類の歴史の大転換点において感染症が大きな役割を演じたという歴史的事実です。今の新型コロナウイルス騒ぎは、1−2年、あるいは3年ぐらいかかるかもしれませんが、必ず終結します。しかし終結後の世界は大きく変わるはずです。
人類20万年の歴史において、少なくとも5つの大きな変革の波に見舞われてきました。私は、18世紀末から始まった産業革命に端を発する科学技術主導の果てしない第4の波は2度の世界大戦と冷戦を経験後、1989年のベルリンの壁崩壊により終結したと考えていました。そして、今は多様性爆発の第5の波にあると考えていました。http://toshio-hirano.sakura.ne.jp/Hirano/gurobaru_hua_dibo.html
しかし、今回の新型コロナウイルス感染症は1989年をはるかに凌駕し、2020年こそが第4の波の終結年であり、かつ第5の波の起点であると考えられます。
18世紀産業革命により始まった現在の科学技術主導の250年にわたる一時代は間違いなく終わりを遂げ、今までとは全く異なる新たな歴史が始まると思います。今、私たちは人類歴史上における大きな変革点に生きていることを自覚しなければなりません。
サピエンス全史のハラリ氏もコロナ後の世界は全く異なる世界が訪れると指摘しています。彼は、私たちに、全体主義的監視か、市民による権限強化かの選択を問いかけるとともに、市民が力を発揮できる道を目指すべきであると指摘しています。さらに、国家主義的な孤立ではなくグローバルな結束を呼びかけています。それが感染症を克服できる唯一の道であるからです。
2020年から始まる人類の第5波はどのような時代になるのでしょうか?それを予測するのは難しいと思います。しかし、ここで、グローバルから一国主義へ、協調から孤立主義へ、信頼から疑心暗鬼へと向かうことは人類の滅亡を意味します。キーワードは「愛・信・恕」です。
今、新型コロナウイルス感染を前に、社会では様々な負の側面が表面化しています。感染者やその家族への偏見、医療従事者の家族にさえ迫り来る偏見、社会システムへの不信感からくるトイレットペーパーなどの買い占めなど、自己中心的な人間の愚かな本性が明確に顔を出しています。その先に医療崩壊が迫り、計り知れない数の犠牲者が増え続けています。そして協調から利己主義へと変貌する恐れすら見え隠れしています。そのような人間社会をよそ目に、新型コロナウイルスはグローバル化(パンデミック)にまんまと成功したようです。2020年4月5日現在、世界の感染者数は100万人(1,118,921)を突破し、死者の数も5万人(58,937)を突破しました。現時点での世界平均致死率は5.26%で、人口1億人当たりの死亡者数は約800人です。ワクチンや治療薬が開発されない限り、終息までには1−2年、あるいはそれ以上かかり、犠牲者の数は世界中で4000万人から最大1.9億になることが予想されます。この目の前の非常事態を克服するためにも、国際的協調と人々の協調が欠かせません。
そして新しい時代において、今以上に重要な点は、COVID-19から大きな教訓を得ることです。それは、「愛・信・恕」です。
愛:家族はもちろんのこと、他人や、広く社会や生命体を慈しむ心
信:お互いがお互いを信頼し、協力し、助け合う
恕:自分自身や家族のみではなく、広く社会の一員として他人を慈しみ、相手の立場や気持ちを思いやり、相手の立場に立って物事を考え、行動する
海外では旅客機のアテンダントが医療施設や介護施設の支援に乗り出しています。また獣医師が医療の支援に乗り出しています。医療従事者へのエールを送るために毎日定刻に市民が合唱している光景が報道されています。外出禁止命令が出ている国では市民が毎日バルコニーにでて、お互いを励まし合い、国歌などを合唱している風景があります。助け合い、思いやりの心がふつふつと芽生えています。2020年以降の時代がどのような時代に変貌しようと、お互いを慈しみ、助け合う心を失ってはならないと思います。
今一度、「愛・信・恕」の心を思い出さなければなりません。
1日も早く、ワクチンや治療薬が開発されて新型コロナウイルス感染が世界で終息することを願っています。
注釈:「調和ある多様性の創造」:人類共通言語を介して、多様性の壁を乗り越えて、多様性の調和をはかることにより、異文化理解や異文化尊重を育み、平和と心豊かな人類社会の発展を図る。