9月13日のブログでも述べましたが、COVID-19は環境問題であるという認識が重要だと思います。
20万年の人類の歴史は大きく分けると5つに分けることができるのではないかと思います。
第一波は20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンスが5大陸に拡散した20万年間、第2波は1万年前に農業文明が始まり現在の多様性の基礎が確立された1万年間、第3波は13世紀にモンゴル帝国が誕生し大航海時代が開かれ7つの海が繋がった400年間、第4波は18世紀にイギリスで産業革命がおこり、技術革新が急速に進むとともに政治的軍事的世界覇権競争がおこり2回の世界大戦を経験した200年間、そして1989年ベルリンの壁崩壊に始まった第5波です。第5波では急速に移動手段や情報伝達手段が革新されて地球が相対的に狭小化し、多様性が凝縮された結果多様性の爆発を迎えています。また第5波は第4波の負の遺産が噴出する時代でもあります。このような状況でCOVID-19パンデミックは起こりましたが、これは環境問題と捉えるべきです。
すなわち、第2波で農業が始まり野生動物の家畜化が起こりました。その結果として結核、天然痘、麻疹、ペスト、マラリヤなどの伝統的感染症が家畜化された動物や生活圏にある小動物、あるいは蚊などから人類に伝搬されました。しかるに、COVID-19などは野生動物からの人類への伝搬です(野生動物から家畜を経由する人類への伝播も含む)。これは人口増加と環境破壊の結果、野生動物と家畜を含む人類社会が限りなく接近した結果だと考えられます。伝統的感染症は1万年の歴史を経て定常状態になり、これ以上は増えません。しかし新興感染症は野生動物からの伝播ですので無限に近い可能性を秘めています。すなわちCOVID-19は今後生じる新興感染症の1つにしか過ぎないということを自覚する必要があります。さらに新興感染症も環境破壊の結果として生じる地球温暖化や自然災害強大化などの環境問題の1つにすぎないということを自覚する必要性があります。すなわち第5波では第4波の負の遺産が一気に噴出する時代でもあります。目の前のCOVID-19は時間の問題で必ず解決します。世の中ではポストコロナが話題になっていますが、ポストコロナは単なる通過点の1つでしかありません。
COVID-19だけに目を向けていたのでは大局を見失う可能性があります。人類は英知を結集して第5波という大波を乗り越えなければなりません。世界は1つです。今こそ地球市民としての自覚を持たなければ人類の未来は開かれないと思います。
興味ある方は9月8日にQST職員向けに行なった講演を聞いてください。